安寧の遅

なんでも。本・漫画についてが多いです。

#18『蜘蛛の糸・杜子春』 芥川龍之介

蜘蛛の糸杜子春芥川龍之介新潮文庫

 

ちょうど目線の先の本棚に、本書があったので、今日の本として選びました。

<掲載タイトル>

蜘蛛の糸

・犬と笛

・蜜柑

・魔術

杜子春

・アグニの神

・トロッコ

・仙人

・猿蟹合戦

・白

 

文豪の作品は、いろんな人が書評や感想文を書かれている印象ですが、自分は全然掘り下げて読むことはできていない自信があります!

自分が好きかどうかという目線で感想を残したいと思います。

 

杜子春』『トロッコ』『蜜柑』が特に好きだと感じました。

 

↓以下感想です

杜子春

人としての境界線は何かを知った気になりました。

小学生の時に教材として読みましたが、展開が気になってドキドキしました。

主人公が同じ失敗を繰り返すのには、少しイラっとしましたが、自分も同じ立場ならどうだろうかと考えながら読んだ記憶があります。

 

ロッコ

なんともいえない寂しさ。

小学生のときによく体感しました。特に夏休み。

文豪といわれている作者が、自分も感じたことのある感覚を持ち合わせ、それを文章として示されたときは、本を読むのは案外難しいことではないかもしれないと思いました。

 

蜜柑

こちらは初めて本書で読みました。

最後まで読んだときに、『杜子春』や『トロッコ』などから感じたような、じんわりとした寂しさと温かさがないまぜになったような感覚。なんともいえませんが、いや言葉にする語彙力を持ち合わせていないので、表現できませんが、芥川龍之介作品の共通感覚を味わえた気がします。

そして当たり前に行われる行動、それを行えるのは、とても強い人間だと感じました。「時代だから」とか、「みんなやってる」とか、「そういうもんだ」とかの視点は、当事者ではなく、第三者によるものなのかもしれないと考えました。

 

その他の作品も読みやすく、何か示唆に富んだ作品が多かったです。

蜘蛛の糸』は小学生の時、暗唱させられた記憶が思い出として残っています。

今では冒頭部分しか言えず、脳が退化してしまっていますが、先生のクラスで勉強できて楽しかったなぁとか思い出しました。

 

あらすじもなく、読んだことのある人しか、もしくは読んだことのある人でも何を言っているのかわからない感想だったかもしれません。

それでもここまで読んでいただき、ありがとうございました!

 

おススメ:誰でも、何かを掴みたいと感じたとき

 

芥川作品は他出版のものも多くあり、どれを選ぶかは人によってだと思います。

#17『クール・キャンディー』 若竹七海

クール・キャンディー若竹七海

 

今日、こちらはポカポカとした天気です。

また夏が顔をのぞかせに来た感じです。

なので、夏のカラットした思い出が閉じこもった作品を取り上げたいと思います。

 

<あらすじ>BOOKデータベースより引用

「兄貴は無実だ。あたしが証明してやる!」誕生日と夏休みの初日を明日に控え、胸弾ませていた中学生の渚。

だが、愉しみは儚く消えた。ストーカーに襲われ重体だった兄嫁が他界し、さらに、同時刻にそのストーカーも変死したのだ。しかも、警察は動機充分の兄・良輔を殺人犯として疑っている!はたして兄のアリバイは?渚は人生最悪のシーズンを乗り切れるか。

 

<感想>

おもしろかったです。

あっという間に読み終わりました。まるで夏休みみたいだ。

読みやすさに加えて、159ページという短さ。

 

主人公が好きでした。

中学生ながら、目的のために古本屋さんでバイトしたり、自転車こぎまわったり、一生懸命突き進んでいる姿がまぶしい!

物語は、兄の容疑を晴らすため、妹である主人公が、アリバイ探しを行うというもの。

兄のために妹が頑張る、感動物語ではありません。ミステリーなので!

 

読後は少し温度が下がった気がします。気のせいかな。

 

おススメ:誰でも。短時間で一冊の本を読み切りたい方

ジャンル:ミステリー、兄妹、青春

#16『ハッピー・デス・デイ』 監督:クリストファー・ランドン

ああ。だめだ。

眠たくて、なにもやる気が出ない。

今日は本も漫画も、むしろ遠ざけたい。

だが!ブログの更新は止めたくない!

そして、こんな時は映像作品でリフレッシュだ!

 

ということで、

ハッピー・デス・デイ』(監督:クリストファー・ランドン)

<あらすじ>

女子大学生が主人公。

誕生日の今日、謎のマスクをした人間に殺されてしまった・・・。のはずだが、目が覚めると、また誕生日の朝が始まった。全くもって殺された日と同じ体験をする中で、謎の殺人鬼もまた自分を殺しにやってくるのであった。

 

何度も殺される度に、誕生日のその日にループする。もし殺されることを防げば、日常に戻れるのでは?と考えた主人公は、犯人探しに奔走する。

~予告編~


www.youtube.com

<感想>

おもしろかったです!

ジャンルは、ループもの×コメディ×ホラー×ミステリー×恋愛という塩梅で、いろんな要素を感じられる映画でした。

 

何度も主人公が殺さてしまう描写も、怖くはありますが、肝が据わった主人公なので、スカッとした感覚もありました。

 

ちなみに、主役はジェシカ・ロースという女優さんで、『ラ・ラ・ランド』にも出演されていた方です。叫んだり、逃げたり、怒ったり、感情のむき出し方が印象的でした。

 

おススメ:誕生日の方。どちらかというと若年層向け(20代)かなという気がします。以下のジャンル全てまとめて観たい方

ジャンル:ホラー、コメディ、ループ、ミステリー、恋愛

 

字幕版、吹替版どっちもよかったですが、字幕版の悲鳴が好きです。

ちなみに続編もあります!以下に貼り付けてます。

#15『金曜日の本屋さん』 名取佐和子

金曜日の本屋さん』① 名取佐和子(ハルキ文庫)

金曜日の本屋さん 夏とサイダー』②

金曜日の本屋さん 秋とポタージュ』③

金曜日の本屋さん 冬のバニラアイス』④

 

今日は金曜日!

ということで、少し狙ってみました。

全4巻で完結しております。順番はタイトル横の数字になります。

 

<あらすじ>①巻裏表紙より引用

”ある日、「北関東の小さな駅の中にある本屋は”読みたい本が見つかる本屋”らしい」というネット上の噂を目にした大学生の倉井史弥。

彼は、病床の父に以前借りた本を返すように言われたが、じつは失くしてしまっていた。

藁にもすがる思いで、噂の駅ナカ書店〈金曜堂〉を訪ねる彼を出迎えたのは、底抜けに明るい笑顔の女店長・南槇乃。倉井は南に一目惚れしてー。

人と本との運命的な出会いを描くハートウォーミングストーリー、開店!”

<感想>

作中に登場する金曜堂という本屋さん。

店長の本に関する知識量がすごい。加えて温かな人柄。

ちょっとした食事もできる金曜堂。

実際にあったらいいなと思いました。

 

この本を通して、手に取った作品がいくつかあります。

例えば、『六番目の小夜子』(恩田陸)、『夜は短し歩けよ乙女』(森見登美彦)、『ハルさん』(藤野恵美)などなど。

少しでも話題に上がったものは、全て最終ページあたりに記載されているんですが、その数がすごく多い!漫画も本もいろんなものが登場します。

よく”本は海だ”と言われる気がしますが、一冊の本から他作品に興味をもち、読書がつながっていくことがあります。この本では、足を運ぶ本屋とは別に、読む本屋さんとして、いろんな本に出会うことができました。

 

シリーズものではありますが、一気に読めるタイプのおもしろさというよりは、少しずつ読む方が合う気がします。

~まとめ~

本と人の物語は、人それぞれでおもしろいと感じました。

 

あと、丹地陽子さんの表紙絵がいい!

 

おススメ:誰でも。本屋好きな人、ほんのり心温まる物語が好きな人

ジャンル:職業、ハートフル

 

#14『十字屋敷のピエロ』 東野圭吾

十字屋敷のピエロ東野圭吾講談社 1992文庫版)

 

高校生の時に読みました。

久しく読書をしていなかった高校時代。

急に父が「なんか本読もか」と言い、地元の本屋さんで選び、買い、読みました。

お金がなくて貧乏だけど、衣食住を優先させる方がいいにちがいないのに、久しぶりに本を買って読んでしまいました。

そしてこの本から、読書が習慣化となる、思い出の一冊です。

(ちなみに貧乏なのは今も変わらない(笑))

 

<あらすじ>裏表紙より引用

”ぼくはピエロの人形だ。人形だから動けない。しゃべることもできない。殺人者は安心してぼくの前で凶行を繰り返す。もし、そのぼくが読者のあなたにだけ、目撃したことを語れるならば・・・・・・しかもドンデン返しがあって真犯人がいる。

前代未聞の仕掛けで推理読者に挑戦する気鋭の乱歩賞作家の新感覚ミステリー。”

 

<感想>

読後からもうじき10年程経とうとしているので、記憶が曖昧です。

怒らないでください。

ただ、当時高校生で、本を読むことに苦しみもあった自分が、のめり込んで読んだ記憶があります。

そしてここから狂ったように、東野圭吾だけを続けて読み漁ります。

ある好きな食べ物を狂い食べしすぎて、気持ち悪く感じ、むしろ嫌いとなってしまうこと、ありませんか?

それと同じ様に、この後、東野圭吾作品を途中から読めなくなってしまいました。

(今は大分戻りました)

えーと、何をいいたいのかといいますと、自分にとっては、東野圭吾にハマるきっかけとなった本であり、本を読むことのおもしろさを思い出させてくれた物語です。

 

作中に登場するピエロ

このピエロ、他作品にもそれを思わせる形で登場しております。

ちょっとした遊び心のようで、気づいたときは嬉しくなります。

東野圭吾作品読んだ方なら、どの作品か心当たりがあるのではないでしょうか?

 

自分語りが多く、内容にはあまり触れない感想の書き方ですが、読んでいただきありがとうございました!

 

おススメ:誰でも。

ジャンル:ミステリー、人形師、ピエロ

 

#13『七回死んだ男 新装版』 西澤保彦

七回死んだ男 新装版』西澤保彦講談社

 

七回死ぬってどういうことだ?

七という数字に何か意味がある?

この感じはループものだな?・・・・・・等々タイトルから惹かれて購入しました。

新装版表紙

このころ、購入する本全てがとても面白いという、自分の本選び直観がさえていたので、本作品にも期待を寄せて購入しました(自分の選び方がいいのではなく、いい本が書店に並んでいたことには考えが及んでいません)。

 

ちなみに当時おもしろループが続いているときに読んでいた本。

どちらも江戸川乱歩賞受賞してる・・・・・・。

・『13階段高野和明講談社

・『テロリストのパラソル』藤原伊織講談社

そして本書

 

<あらすじ>裏表紙より引用

”高校生の久太郎は、同じ1日が繰り返し訪れる「反復落とし穴」に嵌まる特異体質を持つ。資産家の祖父は新年会で後継者を決めると言い出し、親族が揉めるに揉める中、何者かに殺害されてしまう。祖父を救うために久太郎はあらゆる手を尽くすがー。

鮮やかな結末で読書界を驚愕させたSF本格ミステリの金字塔!”

 

<感想>ネタバレ注意!

おもしろかったです。

少しコメディ感のある感じが、ストレスを感じずに読めてよかったです。

登場人物のほとんどに共感は別に出来ませんが(笑)。

 

最後の種明かしは、頭がこんがりそうで、そのこんがり具合がループものの醍醐味の一つだと思いました。

いつも分かったような分からないような感覚に陥りがちですが、筒井康隆先生の『時をかける少女』をはじめ、いろんな作者の方の独自の視点で描かれる、ループものというジャンルが好きです。

時をかける少女』では、時間に関する基礎的な見方を教えてもらった気がします。特にパラレルワールドの概念については、ハンカチの縦糸と横糸に例えての説明があったので、分かりやすい!と思った記憶があります。

 

と、本書について話を戻します!!(ループものはどんどん別作品に派生するのも醍醐味だと思います)

全体を通して面白かったんですが、恋愛については上手くいってほしくなかった気もします。主人公が想いを寄せている秘書の女性が、実は裏で糸を引いていた人間だったとかを期待しておりました(自分はひねくれものなので)。

 

おススメ:誰でも。ループ×ミステリーの組み合わせを読みたい人

ジャンル:ループもの、ミステリー

 

#12『黒い羊』 LS・ホーカー

黒い羊』LS・ホーカー

 

タイトルになんとなく興味をもって購入。

最初は不安で積読したこともあったが、途中からハラハラしてきて読んでしまった。

 

表紙が結構迫力ある。

こわい。

 

<あらすじ>裏表紙より引用

”地元ラジオ局のDJとして成功し脚光を浴びてから、ネッサの悪夢は始まった。

夫は人が変わり、何者かがSNSで彼女の名を騙っては過激な差別発言を繰り返し、仕事も家庭も次第に崩壊していく。

そんななかブログに投稿された、謎めいたコメント。そこには、ネッサが捨てた本当の名前が匂わされていた・・・・・・。

異常なストーカーの正体、そして誰にも知られてはならないネッサの過去とはー。”

 

<感想>ネタバレ少しあります。

ネッサ(主人公)には悩みの種がいくつかあります。

まず一つが別れた元夫(薬物中毒者)。

二つ目がブログのコメントに残された、自分自身の秘密に関わるもの。

絶対に知られてはいけない秘密を、匿名の誰かが知っているかもしれないという恐怖。

そしてそれらが、自分達家族に危険を及ぼすのではないかという不安。

主人公の不安に引きずられるように、読んでいる間はどこかわからないけど、黒々とした不安を感じます。

 

加えて、この主人公は信用できるのか。

読んでいる間は、主人公がいろんな被害を受けていることに対して、怖いと感じますが、主人公自身はアルコール依存症でもあります。必死に克服し、アルコールとの断ち切りに成功しておりますが、主人公の幻覚とみることもできてしまいます。

誰を味方とみて読めばいいのか視点が定まるのに、多少時間がかかりました。

 

~テーマ~

主人公が自分自身を諦めず、捨てず、仕事も家庭も人間関係も自暴自棄にならずに頑張っている姿がよかったです。

あと、アルコール依存や薬物中毒などについて、結構怖くて過激な描写があるかのように思います。

でも、それとの向き合い方で頑張っている人。成功している人もいるというロールモデルを物語上でみせてもらった気がします。

本書は依存症についての物語という一面もありますが、それ以上に主人公の粘り強さに元気をもらえる一面、そしてミステリー要素もある複合的な作品だと思います。

おもしろかったです。

 

おススメ:うーん、描写の捉え方にもよるので20代~かな。

ジャンル:サイコ・スリラー、ちょっとミステリー、海外

 

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