安寧の遅

なんでも。本・漫画についてが多いです。

#38『独立記念日』原田マハ

いやぁ、最後に投稿してからかなりの日付が経っておりました。

お久しぶりです。

おそらく何度と繰り返してきたであろう「お久しぶりです」、これからも気長に永遠とつづくのだろうなぁ。本当は何度か投稿しようとしましたが、お金になるわけでもないし、何か語彙力が上がるわけでもない。何にも意味がないだろうに、ネットの海に流す意味は、、、とか考えだし行動しないことが続いておりました。とまあそんな過程があり、今日戻ってきました。

 

独立記念日原田マハ

初めて原田マハさんの本を読みました。

よかった。

前へと進む人の一歩を「独立」という形で描かれている短編集。読んでいると、不思議と前向きな気持ちをもらえた気がしました。なんだか不思議なんですよねぇ、何がとは分からなくても何となくいい力をもらえるような、パワースポット的な小説だと思いました。

私が手にした新装丁の表紙は、ゴッホの『花咲くアーモンドの木の枝』。可愛くてほこほこ、独立を応援してくれる絵とも感じました。

あとこの本をおススメと伝えてくれた、同じアルバイトの方に感謝。人との出会いが新しい本との出会いになりました。

#37『いつか響く足音』柴田よしき

お久しぶりです。

毎日憂鬱な日々を送っております。現実を好転させるのは難しいですね。

それはさておき、いやそんなときこそ物語の世界に浸り込みたい。頼りたい。助けてほしい。

ということで最近読んだ本の感想を。

 

『いつか響く足音』柴田よしき

舞台は団地。住人が密かに抱えている闇を、連作短編形式でとりあげている。タイトルの「いつか響く足音」というのが、人によって別の意味となるのが、読後に余韻を感じられていい。

物語全体に悲しい懐かしさが漂っており、不安と焦燥があるにもかかわらず、なぜか時の流れがゆるやかに感じられる。おじいちゃんの家に行くとゆるやかな時間を感じるという現象に若干近いかもしれない。(自分だけか?)

内容に関することはミステリー感も含まれているので書きませんが、個人的には猫を撮り続ける写真家の話が好きです。

表紙も好きです。

#36『光の帝国 常野物語』恩田陸

『光の帝国 常野物語』恩田陸

読み終わりました。

東北地方に行く予定があったので、関係あるものを現地で読めればと思い購入。無事帰ってきました。

おもしろかったです。

短編集ですが、つながりを感じる作品。

個人的には『達磨山への道』の話が好きです。

この山に登ると不思議なことが起こる。未来を予見するような映像を見ることがある。この話の主人公が山を登る中で何を見て何を感じたのか。物哀しさが漂っていて、少し体温が下がる様な感覚が心地よかったです。夏ですし。

 

今は恩田ワールドから一旦離れて、別作品をちょこちょこと読んでいますが、恩田陸を読み始めると、ついつい他作品も芋づる式に読みたくなってしまう。今回読んだ「光の帝国」はシリーズとして他に出版されているようなので、また続きを読んでみたいなと思います。また恩田ワールドに召集される日まで、しばしお別れで。

#35『スワン』呉勝浩

『スワン』 呉勝浩

ショッピングモールで起こった殺人事件。

生き残った人々の内、5名が集められる。

あの時、あの場所で何が起きたのか、語られる内容は真実か偽りか。

センセーショナルな事件が起きたとき、私たちはどう行動するのか。

考えさせられました。

 

おもしろかったです。

被害者であるにも関わらず、非難の声を浴びる苦しみや無力感を感じられました。

ニュースを見ていると、いつどんな事件が起きるか分からない現実で、「自分ならどうするか」「その時どう動けるか」という視点で読んでいました。

少し読みづらいなと感じたのは、ショッピングモールを動き回る犯人の動きです。読み込む努力が薄くて申し訳ないですが、事件後からがこの小説の本筋なので、冒頭の犯行シーンに苦しみを覚えて、そこで読むのを辞めるのはもったいないと思います。

 

ぼやぼやした感想ですが、事件が起きた後、せめて第三者によってまた被害者を生み出さないようにしたいと感じました。

岩手県に来てます

お久しぶりです。

現在岩手県におります。

初めて東北地方に来ましたが、日本の原風景を感じられて空気が美味しく感じます。

たまたまなのか居住しているところでは、Wi-Fiがつながりません。

今書いているこれは、中心地のカフェで書いております。

そしてここを離れたら、またネットと断絶した生活をしばし送ることになるでしょう。

 

それにしても風がおいしい。

ふと夜空を見上げると万点の星空、『銀河鉄道の夜』を宮沢賢治がこの土地で綴った由縁を感じました。

遠野物語は詳しくありませんが、遠野の妖怪がこの土地で生まれるわけだ。

 

なんとなく、満喫しているように見えますが、生活は苦しい。

仕事は厳しく辞めたいですが、もう少しだけ頑張ります。

#34 映画『セッション』 監督:デイミアン・チャゼル

映画を観ました。

『セッション』

ご存じでしょうか。

私は『映画大好きポンポさん』のコミック経由で知りました。(ポンポさんが好きな映画として取り上げていたので)

個人的な感想ですが、すごくよかったです。

偉大な音楽家になろうと狂気の世界に追い立てられる主人公、暗い暗い狂気の世界に追い立てる側の教師。こちら側にいる人間からは知ることが出来ない二人だけの世界。その先があるかは分からないが、たどり着いた人間にしか見えない世界を覗き見させてもらった気がします。

基本的に映画の背景はずっと真っ暗なんですよね、DVDのパッケージ写真もそうですが、真っ暗な先の見えない空間で、二人だけスポットが当たっている。お互い自分達しか見えていないような、世界を手に入れたような感覚があるのかなと、観ている側としては感じました。

役者が登場人物に馴染んでいるのもいいです。違和感がない。味のある人間として個人的映画史に名を刻みました。(ちなみに字幕版がおススメです)

#33『歩道橋シネマ』恩田陸

『歩道橋シネマ』恩田陸 新潮文庫

 

読みました。

最近は本を読むことがめっきり少なくなっていました。

眼が文字を捉えることができない。

それでも、脳に物語を取り入れたくて、時折、ながら読みをしながらも読み終わりました。

 

本書はいろんな短編をかき集めた作品でした。

特に、「楽譜を売る男」「降っても晴れても」「ありふれた事件」「春の祭典」がお気に入りです。

なんだろうなぁ。なんだか恩田陸いいんだよなぁ。人生の選択に迷ったら、彼女の作品の中に正解があるんじゃないかなぁと手を伸ばしたくなる、そんな気がするんだよなぁ。