#20『フラジャイル 病理医岸京一郎の所見』 原作:草水敏 漫画:恵三郎
『フラジャイル 病理医岸京一郎の所見』原作:草水敏 漫画:恵三郎(講談社)
この作品で初めて病理医というお医者さんの存在を知りました。
<内容>1巻裏表紙より
”岸京一郎、職業・病理医―
直接患者と会うことなく病気の原因を調べ、診断を下す医者。
医師らは彼について、こう語る。
「強烈な変人だが、極めて優秀だ」とー。”
公式紹介PV
<感想>
実写ドラマを通じて今作に出会いました。
本作では、診断を下すという病理医の仕事を通じて、仕事との向き合い方や責任の重たさなどを知ることが出来ます。
自分は責任なんてものからすぐに逃げたい、極力避けて生きてきたいと思っています。
だけれども、この社会にはそれらと向き合い葛藤している人が存在している。
ときどき、自分を省みるときに読んでみるといいかもしれません。「うぐぐぐぐ」と苦しみます。
主な登場人物は3人
・病理医:岸先生・・・すごい。10割の診断
・見習い病理医:宮崎先生・・・すごく頑張っている。一緒に頑張りたくなる。
・臨床検査技師:森井君・・・仕事ができる。なりたいものになれなかった後悔がある。
-名言‐
読んでいて、「うぐぐ」となった部分を引用します。
12巻
「不器用な男?むしろ器用にズルしてごまかしてるじゃないですか
能力・境遇・環境以前に伍代先生が何十年かけて生きて築いてきた人間性の問題ですよ」
この前後に原因となる物語が描かれているんですが、ひとまず省略します!(ごめんなさい)一言で言うと、伍代先生というのが、自分の言動を環境のせいにしていたことに対する発言です。(そのままですが)
自分のことを言われている感じでした。軽いジャブが入った感じ。
8巻
「じゃあ いつだったらおめぇひとりでやれるようになるんだよ
明日か?来年か?5年後か?ああ?
他人の人生預かってんだよバカヤロウが
おめぇみたいな病理医に診断つけられる患者はかわいそうだよ」
うう。
これを言われた宮崎先生の頑張りを知っているだけに、頑張っているだけではだめなことを打ち付けられてしまった。
学校に通っていた時は、頑張ったで賞なんかがあって、頑張っている姿勢があればまあいいのではというスタンスでいた自分。
またしても軽くジャブを加えられてしまいました。
(名言は読むだけで心にくるものもあれば、前後の内容を知っていないと分からないものもあるかと思います。なので今回取り上げたのは、自分自身が読んでいてよかった部分、気づきと苦しみを与えられた部分を取り上げました!)
10巻発売記念動画
いろんな背景をもった患者さん、襲い掛かる理不尽な病、担当領域の違う医師たち、そして治験やコロナなどの社会情勢など、いろんな情報が結構詳しく描かれている気がします。
医療業界?について本当に全く知識を持ち合わせていませんが、治験をするデメリットや製薬会社が絡む陰謀、病の診断に際する病理医が考えていることなど、物語を通して知ることが出来たと思います。
作品と出会った時期によっては、病理医という職業選択も人によっては持ちえたであろう、力のある作品です。
・おススメ:誰でも。そろそろ自分を省みたい、肥大した自尊心を収縮させたいときにいいかもです。
・ジャンル:医療、病理、職業観
現在(2022年10月)22巻まで続いております。
物語によっては区切りがいい部分もあるので、時折休みながら読むのがいいかなと思います。
追記(2024年1月):一部地方でドラマが再放送されています!嬉しい!