#8『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』 辻村深月
『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』辻村美月(講談社)
ぐわっ。
浸食されるような読後感。
今まで読んだことのある辻村作品とは一線を画すような新しい作品
(著者の作品は出版順に読んだわけではないので、あくまでも自分が知っているものに限られますが)
<あらすじ>裏表紙より引用
”地元を飛び出した娘と、残った娘。幼馴染の二人の人生はもう交わることなどないと思っていた。あの事件が起こるまでは。チエミが母親を殺し、失踪してから半年。みずほの脳裏に浮かんだのはチエミと交わした幼い約束。彼女が逃げ続ける理由が明らかになるとき、全ての娘は救われる。著者の新たな代表作。”
<感想>
読後じりじりと捉えて離さないような、ドロドロ、だけでなく日の出のような少し晴れやかな気分も味わえる。
濃密な一冊でした。
正直中盤あたりくらいまでは、ただただこの話がどこへ着地するのかという不安感と、人の隠れていた本性が、どんどん明るみになっていくところが苦しかった。
友達といえど恋人といえど信用できない。
途中読むのをやめて積読にしようかなと何度か思いました。
それでも最後まで読んでしまった。
多分共感できる点がいくつかあったからだと思います。いい点も隠したくなるような本性も。
本書は幼馴染の友達が母親を殺して失踪。一番の親友である主人公が、友達や恋人などから話を聞きながら手掛かりを探していく形で進んでいきます。
・なぜ殺したのか
・なぜ逃げたのか
・今どこへいるのか などなど
基本的には動機の部分に焦点が当たる内容となっていると思います。
鍵となるテーマが主に二つあります。
一. 友情と嫉妬(特に女性の)
二. 家族(特に母親と娘)
自分はこの、母親と娘の描写に心掴まれちゃいました。
いい話でもないのに、涙がでてしまった。うう。
全て読み解けた自信は全くないので、読む人によって主旨は変わるかもしれません。
最後タイトルの意味が符合した瞬間は、ちょっと切ない。
この本のタイトルを見るたびに思い出す。
おススメ:どちらかというと女性、大学生~、娘
ジャンル:ミステリー(大きなくくりとして。ミステリー小説もいろんな内訳ありますが、自分はまだ知識がなくて・・・これでご勘弁です)